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スターバックス サプライヤー行動規範
目的と範囲
スターバックスでは、責任ある倫理的な事業活動は、パートナー(スターバックスでは従業員をこのように呼んでいます)、お客様、農業従事者、その他のサプライヤー、株主および地域社会の人々を含む社会のためになると考えています。本スターバックスサプライヤー行動規範(以下「本規範」といいます)は、倫理的な取引行動、腐敗防止、責任ある調達、人権・労働権、安全衛生および環境保護の領域において、スターバックスと取引を行うサプライヤー、農業従事者、ベンダー、請負業者、コンサルタント、代理人や販売業者、その他商品およびサービスの提供者(以下、総称して「サプライヤー」といいます)に対する当社の期待を定めたものです。
本規範には、サプライヤーに適用される期待事項、要求事項、方針、手続、ガイドライン、運用基準および行動規範が定められています。すべてのサプライヤーは、スターバックスと取引をする前提として、本規範に従うことが期待されています。スターバックスは、自らの裁量により、いつでも本規範を修正、更新または改定することができます。本規範は、スターバックスおよびその関係会社以外の個人または法人に対して、いかなる権利も付与するものではありません。
本規範は、サプライヤーとスターバックスの間で、またはそれぞれの関係会社との間で締結されるその他の法的な合意または契約の条件に追加されるものであり、それらに代わるものではありません。サプライヤーは、自社のサプライヤー、ベンダー、請負業者、コンサルタント、代理人、第三者労働機関その他の下請業者(以下、総称して「下請業者等」といいます)を含むサプライチェーン全ての関係者に対し、本規範および当該関係者に課される契約上の義務を遵守させるよう全責任を負うものとします。
本規範に加え、サプライヤーは、本規範の別紙で規定されるその他の基準、ガイドラインおよび方針を遵守しなければなりません。
サプライヤーに期待される事項
現地法および国際規則の遵守
サプライヤーは、すべての適用法令(以下に定義します)を遵守することが求められます。当社は、適用法令が本規範と異なる場合、サプライヤーがより厳格な要件に準拠することを期待しています。本規範で使用される「適用法令」とは、サプライヤーもしくはその資産または事業に適用される、国、連邦政府、州政府、地方政府、現地政府、または政府の部門、機関、裁判所、委員会などの法律、規則、規制、解釈、命令、差止、通知、承認、判決もしくは決定を意味します。
責任ある調達実務
サプライヤーは、すべての適用法令の遵守に加え、スターバックスが策定した責任ある調達プログラムの要求事項および確約事項をすべて遵守しなければなりません。これらには、C.A.F.E.プラクティス、商品とサービスの倫理的調達基準 (Ethical Sourcing Standards for Goods and Services)、および、持続可能な乳製品 (Sustainable Dairy)、持続可能なパーム油 (Sustainable Palm Oil)、責任ある鉱物調達および動物福祉 (Responsible Mineral Sourcing and Animal Welfare) など、その他商品固有の確約事項(サプライヤーの商品またはサービスに適用される場合)などが含まれます(本サプライヤー行動規範の別紙をご参照ください)。
透明性
サプライヤーは、要請があった場合、適用法令に従い、自らのオペレーション、方針およびプロセスの透明性を確保し、スターバックスまたはスターバックスが指定する第三者に対して、関連する記録を提供しなければなりません。サプライヤーは、スターバックスの製品や原材料を生産、保管または取り扱う施設および農場、あるいはスターバックスにサービスを提供する施設および農場において、スターバックスの基準もしくは方針または適用法令に抵触する可能性のある状況が生じた場合には、その状況を開示しなければなりません。サプライヤーは、当該状況に関し、サプライヤーの下請業者等がサプライヤーに開示し、またはスターバックスに直接開示するよう徹底させる責任を負うものとします。
サプライ チェーンの管理体制
サプライヤーは、本規範に関連する自らのデューデリジェンスプロセスを継続的に監視するための管理体制を確立しなければなりません。これには、方針および慣行の定期的なレビューや、自らのオペレーションにおける法令遵守、環境保護、安全衛生、労働および人権に関するリスクを特定するプロセスの確立などが含まれます。
苦情申し立ての仕組みと救済策
当社は、サプライヤーが、申立人から本規範に関連する懸念事項を受け付け、それに対応し、申立人が国連のビジネスと人権に関する指導原則(the United Nations Guiding Principles on Business and Human Rights)に準拠する救済を得られるようにすることを目的として、サプライヤー自身とその下請業者等の両方に適用される効果的な苦情申し立ての制度およびその対応手続を確立し、維持することを期待します。
下請業者等に対する期待事項の伝達
当社は、サプライヤーが、下請業者等に対してスターバックスの期待事項を伝達し、かつ本規範を確実に遵守するために必要な全ての資料および支援を提供することを期待します。
トレーニング
当社は、サプライヤーが自らの従業員および下請業者等に対し、本規範で規定される要求事項および期待事項ならびにそれらに対応した権利の遵守に関連したトレーニングなどの教育機会を提供することを期待しています。
ビジネスの誠実さと倫理的な行動
贈収賄および腐敗行為の防止
サプライヤーは、いかなる形態の贈収賄または腐敗行為にも関与してはなりません。具体的には、サプライヤーは、政府関係者または、民間企業もしくは商業部門の個人との取引に不適切な影響を与え、または不適切な影響を与えると解釈される可能性のある有価物の授受、支払い、約束または申し出を行ってはなりません。なお、これらの行為について、直接または間接的であるかどうかは問いません。これらの原則に従い、スターバックスに代わり活動するサプライヤーは、米国海外腐敗行為防止法(the U.S. Foreign Corrupt Practices Act)、英国贈収賄防止法(the U.K. Bribery Act)、腐敗防止に関連するその他すべての適用法令および贈収賄防止に関するスターバックス グローバルの方針を遵守しなければなりません。
制裁と貿易コンプライアンス
サプライヤーは、輸出入に係る関税および貿易に関連するすべての適用法令を遵守しなければなりません。サプライヤーは、国際出荷および輸出入に必要なすべての情報および文書が、真正で正確かつ網羅的であることを保証しなければなりません。なお、この保証には、スターバックスに対して供給する商品に関連した原産地の表示、主張または証明も含まれます。サプライヤーは、米国財務省外国資産管理局(OFAC)が管理する法律、経済制裁または貿易制裁に関連するその他の適用法令によって禁止される取引に対し、直接間接を問わず関与してはなりません。
施設およびサプライ チェーンのセキュリティ
サプライヤーは、すべての施設においてセキュリティを維持し、製品の安全性および出荷時に明示されていない貨物(違法薬物、爆発物、有害物質など)の混入を防止するためのサプライチェーン向けセキュリティプロセスを実施しなければなりません。当社はサプライヤーとともに、米国のテロ防止のためのCTPATプログラム(the U.S. Customs Trade Partnership Against Terrorism program)に定められている最低限のセキュリティ基準を達成するため、グローバルサプライチェーンの強化に取り組んでいます。詳細については、cbp.govをご覧ください。
データおよび情報の保護
サプライヤーは、データ、プライバシーおよび個人情報の保護に関するすべての適用法令を遵守しなければなりません。加えて、システム、ハードウェア、ソフトウェアおよびインフラを含む、情報技術に関わるセキュリティを確保しなければなりません。この義務には、サプライヤーの業務遂行に関連するすべてのデータを安全に保管すること、その保管されたデータやアーカイブされたデータへのアクセスをセキュリティで保護することが含まれます。
帳簿および記録の維持
サプライヤーは、サプライヤーの業務遂行に関連するすべての取引を正確かつ公正に反映し、本規範およびすべての適用法令に準拠していることを検証するために、帳簿、勘定および記録を合理的な範囲で維持・保管しなければなりません。また、サプライヤーは、適用法令に従い、このような帳簿および記録について、スターバックスから要請があった場合、これらをスターバックスに提供しなければなりません。
公正な競争
サプライヤーが行う商取引は、常に公正、適法かつ誠実である必要があります。サプライヤーは、価格協定、談合、市場割当、略奪的価格設定などの違法な競争行為に関与してはなりません。さらに、サプライヤーは、現在、最近または将来の価格設定情報を、独占禁止または競争に関連する適用法令に違反して競合他社と交換してはなりません。
ハラスメントの禁止
サプライヤーは、性別、人種、肌の色、国籍・出身国、宗教、性的指向、性自認、身体的障害、精神的障害、年齢、退役軍人としての地位、配偶者の有無または適用法令により保護されているその他の特性に基づくハラスメントを容認してはなりません。サプライヤーは、言葉による虐待、脅迫、威嚇、セクシャル ハラスメントを含む体罰その他の形態の身体的または精神的な抑圧をかけてはならず、許容もしてはなりません。サプライヤーは、すべての労働者が尊厳と敬意をもって扱われ、ハラスメントが一切ない職場を維持しなければなりません。なお、ハラスメントには、威圧的、虐待的または敵対的で不快感のある職場環境を作り出す言語的、視覚的、身体的、性的その他の他人の感情を害するあらゆる種類の行為が含まれます。
利益相反
サプライヤーは、スターバックスとの取引において、利益相反または利益相反の可能性が疑われる状況を避けなければなりません。なお、利益相反には、スターバックスの利害に加え、サプライヤーの個人または会社としての利害、更にはサプライヤーの取締役、役員、従業員、代理人、代表者および関係会社、またはその家族、その各自の近親者、関係者、もしくはその他の親密な関係との間の相反が含まれます。サプライヤーは、スターバックスのパートナーまたは指定された代表者に対し、意思決定に影響を与える可能性または影響を与えると解釈される可能性のある贈答品および過度な接待の申し出を控えなければなりません。サプライヤーは、スターバックスビジネス行動規範に含まれるスターバックスの贈答品および接待の基準を理解し、スターバックスのパートナーに対してビジネス上で贈答品の提供および過度な接待を実施する際には、この基準に従います。
継続的改善
当社は、サプライヤーが、継続的な改善に向けてコミットメントを示し、ビジネスへの誠実さと倫理的行動基準に関する改善プロセスに取り組むことを期待しています。サプライヤーは、適用法令により義務付けられている場合、人権および環境に関するデューデリジェンスを実施のうえ、最も顕著なリスクを特定し、優先順位を付けて対処するものとします。
労働と人権
スターバックスは、スターバックスの事業や製品によって影響を受ける個人および地域社会の人々の人権を尊重し、これらの期待をスターバックスのグローバルのサプライチェーン全体を通じて各サプライヤー対して広げていきます。労働と人権に対するスターバックスのコミットメントは、国連の世界人権宣言(the UN Universal Declaration of Human Rights)、市民的および政治的権利に関する国際規約(the International Covenant on Civil and Political Rights)、経済的、社会的および文化的権利に関する国際規約(the International Covenant on Economic, Social and Cultural Rights)、国際労働機関の労働における基本的原則および権利に関する宣言(the International Labor Organization’s Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work) など、特定の国際文書に基づいています。
強制労働と人身売買
サプライヤーは、下請業者等による行為を含め、いかなる強制労働や非自発的労働も行ってはなりません。これには、奴隷労働、拘束労働、年季奉公労働、囚人労働などを用いることが含まれます。
児童労働
サプライヤーは、児童労働の利用を行ってはなりません。なお、「児童労働」とは、適用法令で規定される青少年の健康、安全もしくは道徳を危険にさらす可能性のある、または義務教育の妨げとなるあらゆる種類の労働を指します。
サプライヤーは、勤務先の管轄区域で適用される法定最低雇用年齢に満たない個人を直接または間接的に雇用してはならず、また、若年労働者を雇用する場合には、その雇用が当該管轄区域における義務教育要件に抵触しないことを徹底しなければなりません。サプライヤーが、法定最低雇用年齢が定められていない管轄区域または適用法令で15歳未満の個人の雇用を認めている管轄区域で事業を営んでいる場合、サプライヤーは、遂行される作業が15歳未満の者による労働に適用される国際労働機関(ILO)第138号条約の規定に従っている場合に限り、そのような者を雇用することができます。
責任ある採用
移民労働者または派遣労働者を含め、いかなる労働者も、雇用を確保するために手数料を支払うことを要求されるべきではありません。サプライヤーは、適用法令で認められている場合を除き、請求または徴収を受ける方法、時期、場所に関係なく、採用過程において発生する採用手数料および関連費用を全額支払う責任を負います。労働者から書面による同意を得る前に、労働者は、雇用条件および勤務地の法律に関連する適用法令について、十分に知らされる必要があります。
外国人労働者
サプライヤーは、労働者を第三者契約または臨時労働者斡旋業者を通して直接または間接的に雇用する場合、すべての適用法令に従うとともに、送り出し国と受け入れ国の間の関連する国際的な法的協定に厳格に従って行動しなければなりません。
賃金、福利厚生、労働時間
当社は、サプライヤーが、労働時間、超過勤務時間、休憩時間、報酬、福利厚生および記録へのアクセスに関するすべての適用法令を遵守することを期待しています。また、サプライヤーが労働者(研修生を含む)に対し、少なくとも法定最低賃金に相当する金額を現金で支払うことを期待しています。
結社/団体交渉の自由
当社は、サプライヤーが、適用される国内法および慣行に従い、結社の自由の原則および団体交渉権を尊重することを期待しています。当社の期待は、「労働における基本的原則及び権利に関するILO宣言」(the ILO Declaration on Fundamental Principles and Rights at Work) の内容に基づくものです。
安全で健康的な労働環境
当社は、サプライヤーが、労働者に安全で健康的な労働環境を提供し、職場や労働者の宿泊に使用される居住環境を含む労働条件に関する適用法令を遵守することを期待しています。
平等と差別の禁止
当社は、サプライヤーが、労働者に敬意と尊厳をもって接し、労働者の雇用機会が均等で差別がないことを期待しています。また、当社は、雇用条件に関し、人種、肌の色、国籍・出身国、性自認、性的指向、宗教、障害、年齢、家族、妊娠、個人的な特性または信念その他適用法令で差別が禁止されている要素ではなく、各個人の職務遂行能力に基づくことを期待しています。
先住民族と地域共同体
当社は、サプライヤーが先住民族および地域共同体(IPLCS)に関する適用法令を遵守することを期待しています。
環境スチュワードシップ
サプライヤーは、環境に関するすべての適用法令を確実に遵守しなければなりません。当社は、サプライヤーが天然資源を保護し、廃棄物や汚染を防止するために、持続可能な素材と製造方法を用いることを期待しています。サプライヤーは、温室効果ガスの排出、エネルギー、水、森林破壊、廃棄物、梱包材など、自らの事業やバリュー チェーンに関連する領域において、環境に与える影響を減らすための取り組みを追及する必要があります。スターバックスは、サプライヤーが自らの事業が環境に与える影響を測定、管理および開示するための目標と行動計画を設定し、実施することを期待しています。サプライヤーには、要請があった場合、これらの取り組みに関する情報をスターバックスに共有することが期待されます。
遵守と是正措置
スターバックスは、本規範の遵守状況を検証する権利を保有します。サプライヤーは、自社の記録、施設および業務運営について、事前通知の有無にかかわらず調査を受け入れなければなりません。調査は、スターバックスまたはスターバックスが指定する第三者もしくはスターバックスが認める第三者によって実施され、調査には、立ち入り検査、従業員からの聴取、記録、帳簿、業務遂行の確認などが含まれる場合があります。サプライヤーは、社内外の監査、評価、検査、調査または審査によって指摘された不適合または違反を適時に是正するためのプロセスを整備しておかなければなりません。本規範を遵守せず、またはスターバックスや第三者によっても本規範を遵守しない状況が改善されない場合は、未処理注文のキャンセル、本規範に準拠していない生産拠点の使用中止、ビジネス関係の終了の要因となります。
〈別紙〉本規範で参照されているスターバックスの方針およびガイダンス
- 商品とサービスに関するスターバックスの倫理的調達基準
- スターバックス Coffee and Farmer Equity (C.A.F.E.)プラクティス
- スターバックスの紛争鉱物に関するポリシー ステートメント
- スターバックスの持続可能なパーム油
- スターバックスビジネス行動規範
- スターバックス グローバル人権宣言
改定:2024年12月
※ なお、別紙の参照方針等について、日本法やその他日本の状況に照らし取り組みが極めて難しい事項があった場合には、本規範の適用範囲から除外して取り扱う可能性があります。