HELLOCOFFEE
コーヒーチェリーとエスプレッソショットとコーヒーの風味を表現したイラスト
コーヒーの栽培

多様な風味を生み出す、コーヒーのブレンドの秘密

ブレンドとは、ただコーヒーを混ぜることではありません。ブレンドの芸術を通じて、私たちはコーヒーへの真の愛情を体現しています。スターバックスでは、テロワール、加工法、ローストを深く学んだ上でブレンドを作っています。ただランダムにコーヒーを組み合わせたのでは、ぼんやりと濁った味になってしまいます。これまでにない、おいしいブレンドを作るには、風味を互いに引き立たせるための熟練した技術が必要です。
ここでは、スターバックスのブレンドの歴史と、ブレンドの方法をご紹介します。

スターバックスのブレンドの歴史

さまざまなコーヒーのパッケージイラスト

私たちにはブレンド作りの長い歴史があり、風味の可能性を広げながら、スターバックスの伝統を称えるコーヒーを作ってきました。すべてのブレンドに開発ストーリーがあり、それら一つ一つがスターバックスの歴史で重要な役割を果たしています。

1971年 スターバックス初のブレンド「ハウス ブレンド」

ハウス ブレンドの商品画像

今もお届けしている「ハウス ブレンド」が、お客様に味わっていただいた最初のスターバックスのコーヒーです。水洗式ラテンアメリカ産コーヒーのプレロースト ブレンドで、ナッツやココアを思わせるバランスのとれた味わいが特徴です。はっきりとした力強い飲み口で、スターバックスのコーヒーの世界にお客様を歓迎する想いを表現しています。

1975年 チョコレートケーキに合わせて生まれた「カフェ ベロナ®」

カフェ ベロナ®の商品画像

シアトルの有名レストランの濃厚なチョコレートケーキと合わせられるように作られた「カフェ ベロナ®」。レストランで食事をした人々のリクエストで、スターバックスの店舗でも量り売りとブレンドを開始しました。当初はブレンドの割合から80/20ブレンドと呼んでいましたが、数年後、「カフェ ベロナ®」と名づけました。ブレンドにイタリアン ローストが含まれていること、ロマンスを喚起するような名前が必要と考えたことから、シェイクスピアの戯曲「ロミオとジュリエット」の舞台として知られる北イタリアの都市にちなんでいます。

ダークココアのような風味とローストの甘みと深みが特徴の「カフェ ベロナ®」は、チョコレート入りのデザートと一緒に味わう食後のコーヒーとして、今も多くのお客様に愛されています。

1975年 ミルクと合わせても、そのままでもおいしい「エスプレッソ ロースト」

エスプレッソ ローストの商品画像

「カフェ ベロナ®」と同じ年に生まれた「エスプレッソ ロースト」。開発したのは、スターバックス創業者3人(ジェリー・ボールドウィン、ゼブ・シーゲル、ゴードン・バウカー)と、シアトル初のエスプレッソバー「カフェ アレグロ(Café Allegro)」を開いたデイブ・オルセンです。エスプレッソの風味のプロファイルを最適なものにするため、試行錯誤を重ねた4人。最終的には、ラテンアメリカ産とインドネシア産の豆のプレロースト レシピが使われることになりました。

豊かな風味とキャラメルのような甘み。当時も今も、その味わいは変わりません。ラテ、カプチーノなどスチームミルクと絶妙にバランスがとれ、エスプレッソショットとしてそのまま飲んでも、アメリカーノとしてお湯を加えても、おいしさが際立ちます。

1984年 ホリデーシーズンを象徴する「スターバックス® クリスマス ブレンド」

誕生以来、毎年最も心待ちにされるコーヒーが「スターバックス® クリスマス ブレンド」です。クリスマス ブレンドはスターバックスにおいて、ホリデーシーズンのわくわく感と盛り上がりの象徴として愛されてきました。

スパイシーさと甘みがあり、なめらかで長い余韻が続く、ラテンアメリカ産とインドネシア産の豆のポストロースト ブレンドは、ホリデーシーズンの濃厚な食べ物にもぴったり合うコーヒーとして作られました。隠し味は希少なエイジド コーヒーで、酸味を抑えながら、杉を思わせるスパイシーな風味を加えています。

毎年クリスマス ブレンド作りは、完璧な調達、ロースト、ブレンドの共有といった、スターバックスの仕事への情熱を体現しています。季節の移り変わりを感じながら、お客様と同じように私たちもクリスマス ブレンドを心待ちにしているのです。

1996年 創業25周年を記念した「スターバックス® アニバーサリー ブレンド」

1996年の秋、スターバックスがアメリカ・シアトルで誕生してから25周年を迎えたことを記念して作られたのが「スターバックス® アニバーサリー ブレンド」です。このブレンドは、甘くてしっかりしたコクのインドネシア産とパプアニューギニア産のコーヒーと、アジア/太平洋産のコーヒーで作られています。スパイシーな風味のスマトラ産エイジド コーヒーは、杉やあぶったマシュマロのような深い風合いの土台にぴったりです。コクのしっかりした濃厚で複雑なブレンドで、スターバックスの過去・現在・未来を示すのに相応しいコーヒーとなっています。

2006年 アイスコーヒーのために開発した「スターバックス® アイスコーヒー ブレンド」

スターバックス® アイスコーヒー ブレンドの商品画像

「スターバックス® アイスコーヒー ブレンド」は、アイスコーヒー向けに特別に開発されました。複数の栽培地域の豆をブレンドし、冷やした際に風味が際立つようにローストした結果、さわやかなシトラスとキャラメルの風味のバランスがとれた味わいが生まれました。開発当初は、“テラス”を意味するスペイン語から「テラッツア ブレンド」と呼ばれていましたが、2011年に名前を変え、今も夏のアイスコーヒーの定番として親しまれています。

2008年 毎日飲んでいただけるコーヒー「パイクプレイス® ロースト」

パイクプレイス® ローストの商品画像

すべてのスターバックスの店舗で、毎日お客様に飲んでいただけるコーヒー。これを目指して誕生したのが「パイクプレイス® ロースト」です。それまでスターバックスで飲まれていたコーヒーと比べると、ローストの度合いは浅めですが、スターバックスを象徴するコーヒーであると感じられたからこそ、1号店パイクプレイス マーケットから名前をつけています。

ラテンアメリカ産の豆を使用したなめらかでバランスの良いこのブレンドは、格別なアラビカ種への情熱を新しい形で表現したものです。

2011年 軽やかな風味の「スターバックス® ブロンド ロースト コーヒー」が誕生

スターバックス ライトノート ブレンド®の商品画像

スターバックスのロースト スペクトラムをユニークな形で広げたのが「スターバックス® ブロンド ロースト コーヒー」です。ただコーヒーを軽めにローストしたものではありません。抽出した際にローストをあまり目立たせることなく「コーヒー自体に語らせる」、より軽やかで風味の良いブレンドを生み出すことを目指し、たどり着いたロースト方法です。

ラテンアメリカ産の豆のみで作られ、少し長めにローストされた「スターバックス ライトノート ブレンド®」。酸味がわずかに抑えられ、明るいというよりもやわらかで、ソフトなココアと軽くトーストされたナッツの風味がある、ラテンアメリカ産のコーヒーらしい特徴をもつブレンドです。

2017年 なめらかで自然な甘みの 「スターバックス® ブロンド エスプレッソ ロースト」

1975年以来、スターバックス エスプレッソ ローストにおいて何よりも大切だったのは力強さと、濃厚さと、キャラメルのような甘みでした。どうしたらスターバックス® ブロンド ローストのプロファイルでこれらが可能になるか。

この年、私たちはわくわくできるブレンドを開発しました。ラテンアメリカ産とアフリカ産のブレンドの風味を前面に出すため、十分な時間でローストすることに重点を置きました。目指したのは、スチームミルクに負けないはっきりとした風味をもちながら、ローストの強さそのものは目立たないようなコーヒーを作り出すことです。

「スターバックス® ブロンド エスプレッソ ロースト」は、非常になめらかでコーヒーの自然な甘みが出ていて、クリーミーなコクとレモンとオレンジのデリケートな風味を感じることができます。

ブレンドの多様な風味は、こうして生まれる

ローストの状態をチェックする様子のイラスト

ブレンドは芸術的技巧と技術の融合であり、コーヒー開発チームの専門知識と鍛錬された味覚が必須です。熟練したブレンダーは、地域独特の風味をもつコーヒーを織り合わせて、新たな風味を作り出します。完璧なローストレシピの特定は、スターバックス ブレンドのビジョンを完成させるのに欠かせない作業です。ここからは、スターバックスのブレンドの方法をご紹介します。

新たな風味を生み出すだけでなく、風味の再現も

コーヒーの香りを嗅ぐ様子のイラスト

ブレンドは、新たな風味を生み出すだけでなく、コーヒー豆の一貫性と品質維持にも欠かすことができません。シーズナル ブレンドであれば、お客様やバリスタが記憶している風味を再現できるよう、コーヒー開発チームは洗練された味覚や経験を働かせます。コーヒーは農作物であり、シングルオリジン コーヒーの風味ですら、季節ごとにわずかに変わることがあります。そのためコア商品のブレンドも、一貫性を確保できるようコーヒー開発チームは季節ごとにレシピを調節します。

パイクプレイス® ローストを例にとってみましょう。均整のとれた口あたりやココアと煎ったナッツのわずかな風味を作り出すため、ブレンダーは相応しいコーヒーを組み合わせます。ほどよい酸味のために使ったコスタリカ産のコーヒーが手に入らなければ、ブレンダーは自らの鍛錬された味覚を使い、似たような酸味を出せる別のラテンアメリカ産のコーヒーを特定します。このようにレシピを管理することで、毎年ブレンドの風味のプロファイルに一貫性をもたせることができるのです。

新たなブレンド作り

焙煎したコーヒー豆を袋に詰める様子

新たなブレンド作りは、できあがったコーヒー像を思い描くことからはじまります。最初のプロセスが「ウェット ブレンディング」です。望ましい結果が出るまで、抽出された様々な生産地のコーヒーを異なる割合で混ぜることを、こう呼んでいます。意図する風味に達するまで、様々な割合で繰り返し、選択肢を狭めていきます。

ウェット ブレンディングでレシピを決定したら、次はコーヒーの生豆をブレンドし、様々なローストを検討します。その後、望ましい風味のプロファイルができあがったことを確認するため、チームは再びテイスティングします。

ブレンドに使うコーヒーの風味が複雑だからといって、ブレンドが複雑になるわけではありません。また、風味の強いコーヒーを輝かせるには、風味を一定の割合に抑える必要があります。デリケートな風味のプロファイルに、ダークローストのコーヒー豆の力強い風味を加えることで、より濃厚な口あたりが生まれる場合もあります。こうしたプロセスはすべて、コーヒー開発チームが巧みに管理しています。

ブレンドが先か、ローストが先か。2つのアプローチ

ブレンドの風味が決まると、熟練したロースターは、プレロースト ブレンドとポストロースト ブレンド、どちらにするかを選択します。

プレロースト ブレンド

プレロースト ブレンドのイメージ写真

ほとんどのスターバックス ブレンドは、様々なコーヒーを生豆のうちにブレンドします。個々のコーヒーをブレンドしてから一緒にローストする方法は、プレロースト ブレンドと呼ばれています。スターバックスのコーヒー豆では、ブレックファースト ブレンド、ハウス ブレンド、エスプレッソ ロースト、コモド ドラゴン ブレンド®などが、プレロースト ブレンドです。

望ましい割合で組み合わされた生豆は、すべて一緒にローストされます。その結果、より均一的な風味のプロファイルと濃厚さのある、なめらかでバランスの良いブレンドとなります。ブレンドする際には、同じローストカーブで最高の風味に達するコーヒー豆が選ばれます。例えば、水洗式で加工されたコーヒーは、一緒にローストすると素晴らしい風味に仕上がります。

ポストロースト ブレンド

ポストロースト ブレンドのイメージ写真

個別にローストしてからその後ブレンドする方法は、ポストロースト ブレンドと呼ばれています。スターバックスでは、単一のローストカーブでそれぞれのコーヒーの成分の風味が十分に引き出されない場合にポストロースト ブレンドを使います。スターバックスのコーヒー豆では、スターバックス® クリスマス ブレンド、カフェ ベロナ®がポストロースト ブレンドです。

ブレンドを構成する豆は、異なるローストカーブで別々にローストされ、その後ブレンドされます。その結果、複数のローストが表現され、コーヒーをいれた時に複雑さが増すのです。このアプローチでは、それぞれの生産地のコーヒー豆をポテンシャルの最大限まで個別にローストし、その後ブレンドすることで、コーヒー豆の風味を際立てます。大きさ、密度、加工法の異なる豆は、この方法を選択することがほとんどです。

スターバックス® クリスマス ブレンドを例にあげてみましょう。当初、ラテンアメリカ産とアジア/太平洋産の豆を一緒にローストしたところ、ラテンアメリカ産の酸味と複雑さが際立つロースト時間では、アジア/太平洋産のコクを深められないことがわかりました。反対に、アジア/太平洋産の深み、スパイシーさ、コクをすべて引き出すと、ラテンアメリカ産の明るさと酸味がロースト スペクトラムによって消されてしまいます。そこで、それぞれのコーヒー豆の成分が完璧になるよう別々にローストし、その後ブレンドすることにしました。

スターバックスのブレンドの強み

焙煎中のローストの状態を確認する様子

スターバックスの熟練したブレンダーは、シングルオリジンがローストされたときに見せる、それぞれの強みを上手く活用します。その酸味ゆえに使用するコーヒーもあれば、そのコクや風味ゆえに使用するコーヒーもあります。ブレンドするとき、私たちは様々な地域、品種、ローストカテゴリーの豆を試して、それぞれのコーヒーの強みを補完し合います。その結果、幅広いお客様の味覚や好みにアピールできる、無限の風味の組み合わせが生まれます。

コーヒー豆に関する知識や品質への揺るぎない献身によって、ブレンドという芸術が生み出す、濃厚で豊かな味わいをお届けすることができるのです。

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